2009年5月15日金曜日

日常を旅する


今、一番見たかった景色はこれだったのかもしれない。
わたしは今、お茶とお花の教室へ向かう途中の公園で
これを書いています。
 
番組が終わった後、
ずっと気になっていた映画「バオバブの記憶」を見に
名古屋シネマスコーレへ。
 
この映画館、実ははじめて。
 
結構ディープな映画館だった。
こういうとこ好きだ。今まで知らなかったなんてもったいことをしてた。
 

映画はバオバブの木と共に暮らす
セネガルのある村の人たちの生活を追うドキュメンタリー。
 
悲しいでも、変ってるでもなく、
ただ当たり前にそこにある生活が当たり前のこととして描かれていた。
 
映画館から出てきた時は
一週間ほどセネガルに行ってきた後みたいな気持ちになってた。
 
自転車にKEYを差し込もうとしてこんな看板と目が合う。
 
いい音楽 と いいごはん
 
その表現がとても好きだった。
 
もう一度KEYをかけて、
吸い込まれるようにして路地の中に入っていけば
  
こんな素敵なお店が待ってた。
  

これも出逢いと中へ入ると
明るいJAZZが出迎えてくれる。
 
「マタハリ」とはインドネシア語で太陽という意味です。
路地裏の小さな隠れ家、
けれど暖かな太陽に包まれているような店でありたいと思っております。
 
メニューにはそんな風に書かれてた。
 

お料理を待っている間に何気なく開いた本。
 
旅好き、そして路地好きのわたしは
この2冊にすっかりスイッチが入ってしまった。
 

今すぐここに行きたい。
 
ただただ、これを見たい。
この場所に座って何時間でもこの光景を味わっていたい。
 
どんな風が吹いているんだろう。
 
どんな音がそこにはあるんだろう。
  

最近しばらく旅に出ていなかったことに気付く。
 
この後のお茶の教室もライブも友達との約束も
すべてをキャンセルして遠くへ行こうか。
海外はムリでも電車に乗ってできるだけ遠くへ。
 
2・3年前のわたしならきっとやってた。
今それをしないのは大人になったからなのか。
それとも、どこかで日常を変えたくないと思っているからなのか。
 
それでも何となく、知らない道ばかりを選んで帰っていると
いい感じの自転車屋さんがあった。
よくある普通の自転車屋さん。
 
でも、写真にすれば・・

さっきの本の写真とも通ずるものが。
 
心の中で勝手に「名古屋のイタリア」と命名。
 
楽しくなってきた。
 
神社もやたらとかっこよく見え、
ここにいることが何だかうれしくなる。
 

気付けば5月の緑は生命力に満ち溢れてて、
草の香りが鼻をツンとくすぐった。
 
こんなにちゃんとサラサラと葉っぱが揺れる音を
集中して聞いたのはいつ以来だろう。
大きく息を吸い込む。
緑のパワーが体中に充満した。
 

「視点を変えるだけで日常は何倍にも楽しくなる」
 
今朝、番組でそう言っていたのは
他でもないわたしだった。
 
自分で言っていて自分が一番忘れてた。
 
今は旅に出るんじゃなくて
日常を旅することを楽しむ時期なのかもしれない。
 
昔撮った写真たちを眺めながら。

フランスのネコも
 

あの路地も
 

イタリアの広場も
 
迷い込んだこの道も
 
あのときの感動は時間が経っても
こんなにもわたしを支えてくれているから。
 
昨日この本を読んだことも
何だか偶然じゃなかったような気がしてる。