2009年8月11日火曜日

遊びと学び、そして選ぶということ


今日ご紹介した木のおもちゃ屋さん「遊ぼ」の
オーナーさんのお話がとてもおもしろかったのでご紹介です。
 
ちょっと長いのですが、自分の記録としても
残しておきたいなぁと思い、そのまま載せます。
 
「日本では「遊び」と「学び」は分けられがち。
でもドイツではそれが一緒なんです。


だから子どもたちが毎日触るおもちゃは
プラスチックや鉄でできたものよりも
自然のもので作られたものの方がいい。

 
子どもたちは「本物」を肌で感じて覚えていく。

 
おいしいものを味わっていないと、

おいしいのか不味いのかわからないように、
うちのおもちゃは食でいう

マクロ・ビオテックのようなものだと思っています」
 
「ツールにこだわる大人がいる。
時計だったり、靴だったり・・上質のものを。
子どもだってツールにこだわっていいと思う。

 
ぬいぐるみ一つにしてもココのは本物のようなぬいぐるみなんです。
国立公園に行ってデッサンをして

そこから模型を作ってそこに毛をいれていく。
触ってみると足の付け根のふくらみなんてうさぎそのもの。
 
こんなことがありました。
3万円くらいのちょっと値がはる

本物そっくりのネコのぬいぐるみがあったんです。
 
実物大のそのぬいぐるみは

電車の中に持ち込まれた時はまわりの人が
本当にネコがいると思ったほど。

 
それを贈られた男の子は

そのぬいぐるみを片時も離さなくなりました。
どこに行くにも一緒。
ぬいぐるみは男の子の友だちになったんですね。」
 
「しろいうさぎとくろいうさぎ」の本と
絵本そのままのうさぎのぬいぐるみがあったり、
「はらぺこあおむし」の本と木でできた
あおむしのおもちゃがあったのに感動していると・・
 
「わたしたち大人は絵本の中の世界と
現実の世界をきっちり分けてしまうけれど、
子どもたちにとっては目の前のものはすべて一緒なんですね。
絵本の中のものを外にもってくることによって
つながりを作ってあげる。
  
絵本の中でみたものと外の世界にあるものが
自分の中で繋がった瞬間「あ、これか!」とわかったときの
子どもたちの感動を大切にしてあげたい」
 
(造形教室もあるということで、)
「絵本を読んだり、おもちゃで遊ぶというのはインプット、
作るという作業はアウトプットです。
子どもたちはいろんなものから学んでる。
 
泥水の中から色のきれいな組み合わせを見つけてきます。
親はそれを信じて待ってあげることが大切。
そしてできた時には思いっきり褒めてあげる。
それが本人の自信につながります」
 
「作るという作業はいろんなことにつながっています。
まず色を選ぶ、形を選ぶ‥人生において
わたしたちはいろんなものを選んでいきます。
親に与えられたものばかりではいけなくて、
いつかは自分で選んで生きていきます。
 
何を自分が選ぶのか、子どもの頃から
見極めていくことはとても大切なんです。
 
そして、今社会をひっぱっている大人たちは
みんな遊びを仕事と分けていなかったり、
好きなことをやっているから苦を苦と
思っていないということが多いと思うのですが、
何かを作っているときの子どもたちはまさにその状態です。
 
泣きながらでもやりたくてやる。
できないのがくやしいけど、どうしてもできるようになりたくて。
社会に出て必要になってくるのはそんなモチベーションです。
 
ここでのものづくりは幸せに生きていくための
ベースづくりなんじゃないかと思うことがあります。
むしろ生きることそのものなのかも。
今、この一瞬を楽しむということ。
子どもたちは放っておくと自然とそうなるんですよね。」

 
三角形に切った段ボールに子どもたちが塗った色は
彼らのエネルギーそのものだった。
 
ギラギラとしたそのエネルギーを外に出す子どもたちは
どんなに生き生きしていたろう。
そして心模様をそのままあんな風に色にできる子どもたちを
とてもうらやましく思った。