2010年3月7日日曜日
インビクタス 負けざる者たち
監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン
南アフリカの元大統領ネルソン・マンデラは
アパルトヘイトを撤廃へ導いたことで有名だが、
1995年にラグビーのワールドカップで
それまで弱小だった南アフリカのチームを
初出場初優勝へ導いたことを知る人はきっと少ないだろう。
これは彼がどうやって優勝へ導いたのか、
そしてそこにどんな想いを込めていたのかを描いた
ノンフィクションの映画。
アカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされている
モーガン・フリーマンの演技がすばらしかった!!
本当にネルソン・マンデラ自身かと思うほどに。
実際にマンデラを知っている人も驚くほどだったらしく、
マンデラの個人秘書は撮影の時、
偶々聞こえてきたモーガンの声に
「あら、なぜマディバ(マンデラのこと)がここに?」と思ったという。
マンデラには毎日のように会うけれど、
モーガンほど彼にそっくりなしゃべり方、しぐさができる人はいないと
インタビューで語っていた。
モーガン・フリーマンはもう何年も前から、
マンデラをいつか演じたいと切望しており、
マンデラがアメリカを訪れる度、スピーチに足を運んでいた。
そしてこの脚本をクリント・イーストウッド監督に持ちかけ
マンデラの承諾も直接受けに行った。
モーガン自身はこの映画で製作総指揮を務めている。
これだけの熱のこもりよう!
明日のアカデミー賞授賞式では個人的に一番受賞してほしい人だ。
そしてもう一つの見どころは実際に使われていた
マンデラの独房が出てくるところ。
彼は27年半の獄中生活のうち、
ロベン島の幅2m、奥行き2.5mの部屋に18年間
入れられていた。
その事実になにより胸が苦しくなる。
そして、その18年を経た後にとった「赦す」という行動の尊さ。
なぜ、モーガンがこれほどまでに彼の映画を世に出すことに
尽力したのかがよくわかる。
さらに、この映画はいろんな意味で大きな存在になるだろうと思う。
ネガティブな報道が多い印象の南アフリカを
違う視点から見られるであろうし、
ワールドカップしかり、日本人にとっては
南アフリカのことを知るきっかけになるだろう。
一方で、南アフリカの人にとっても一つのきっかけになるかもしれない。
映画パンフレットの中、南アの歩みが載ったページでは
マンデラ引退後の南アの状況はあまり好ましくない、とあった。
「その後の選挙でANC(アフリカ民族会議)は3分の2を獲得し、
憲法を改正して、連立条項を削除してしまった。
白人政権は閣外に去り、マンデラの理想だった
「虹の国」の一部が崩れた。・・・」 (パンフレット抜粋)
南アの知人からはこんなメールが着ていた。
この映画を南アで一緒に観た友人は、
「南アの人にとっても、95年当時の『虹の国』に向かおうとする
強い想いを思い出す機会になる」と言っていました。
それぞれの場所で、それぞれの方向にとっても意味のある映画。
ぜひご覧ください!
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